病院薬剤師と処方箋

日々の処方鑑査や患者さん、お医者さんから質問されたことを自分なりに調べてアウトプットするブログです。

K異常について勉強した②

【低 K血症について】

・血清K濃度3.5mEq/L以下と定義されている

・症状(筋力低下や四肢麻痺など)が出現するのは3mEq/L以下

・低K血症+QT時間の延長→torsade de pointes(Tdp)が発生しやすい

 

【低K血症と心電図】

U波増高が低K血症の最大の特徴

 

 

 【低K血症の治療】

・低K血症の症状が強い場合や不整脈を伴う場合はただちに治療を行う

K補給:K濃度1mEq/Lの低下につき4~5mEq/kgを目安に補給する

・基本的には経口投与のほうが安全

・血清K濃度 2mEq/l以下の場合や経口投与が困難な場合はゆっくりした速度で点滴

・高濃度のKが心臓に到達しないように注意

P.154~155

 

「K濃度1mEq/Lの低下につき4~5mEq/kgを目安に補給する」って書いてあるけど本当ですかね?50kgだと200~250mEqとなり、よく言われる100mEqを超えてしまいます…。

 

私が勘違いしているのでしょうか?それとも本の内容が間違っているのでしょうか?

教えていただけると幸いです。

K異常について勉強した①

今日はK異常についていつもの本で勉強したので書いていきます。

 

 

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【高K血症と心電図変化】

・テント状T波→T波増高→P波が少なくなる→wide QRSに変化→サインカーブパターン→心停止

P.154

 

【高K血症の原因】

①腎臓からのK排泄低下

②Kの細胞外への移行

③Kの負荷

→最大の原因は腎臓からのK排泄低下である

P.154

 

【高K血症を起こしやすい薬剤】

K保持性利尿薬、ジギタリス(←Kの細胞外への移行が原因。腎機能低下患者には注意)、ACE-I、ARB、NSAIDs、バクタなど

P.154

 

【高K血症について】

・血清K濃度:5.5mEq/L以上を高K血症と定義されている

・心電図変化を認める場合は緊急治療の対象となる

・6.5mEq/L以上では心停止or心室細動を起こすリスクが高いため緊急治療が必要

P.154

 

【高K血症の治療】

・6~7mEq/L以上&心電図変化がある場合は以下の治療を行う

心筋保護、心室細動予防目的でカルチコールの投与(※ただ、効果は1時間程度で消失)

カルチコール投与と同時にGI療法を行う(細胞内へKへの移行を促進させ、血清K値を下げる)

内服可能ならアーガメイトゼリーなどを内服させる

P.155

ペルジピン注について勉強した

 今日はペルジピン注についていつもの本で勉強したので書いていきます。

 

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【ペルジピン注について】

・単回投与する場合、原液を用いる

・点滴静注する場合、生食orブドウ糖で希釈(0.01~0.02%(0.1~0.2mg/ml))して投与する。

・点滴静注の場合の投与量:0.5~6γ(=μg/kg/分)、0.5γで開始し目標値まで血圧を下げ、以降血圧をモニタリングしながら点滴速度を調節する

・大動脈解離や高血圧緊急症の急性期に血圧を目標までいち早く下げたいときに使用される

・薬液が血管内外に漏れると静脈炎(注射部位を中心に炎症・硬結などを起こし激しい痛みを伴う)に発展する可能性がある=静脈ルート周囲の発赤の有無を確認する

P.45

 

 当院では結構、ペルジピンを原液のまま点滴静注することが多いですが患者さんから血管痛を訴えられることはなく今のところ問題になったことはないです。皆さんのところはいかがでしょうか?

 

マグネゾールについて勉強した

 今日はマグネゾール注をいつもの本で勉強したので書いていきます。

 

 

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【マグネゾールについて】

・心臓の刺激伝導系や心筋に作用して不整脈作用をもつ

・torsade de pointes(Tdp)によるVF/無脈性VTに使用する

(低Mg血症がなくてもtorsade de pointes(Tdp)からのVF/無脈性VTには有効)

torsade de pointes(Tdp)以外の心停止には推奨されない

アルコール依存症や低栄養、低Mg血症が疑われる場合に投与

・マグネゾールの急速投与は心停止を惹起する可能性があるためマグネゾール1Aを1~2分かけてゆっくりと投与する

 (※当院のある先生は生食100mlに1A溶解して30分で点滴という指示を出すことあります)

P.45

 

 

 私が不勉強ということもあってマグネゾールってなんで投与されているんだろうと思っていた時期があったのですがなんとなくですが(完璧には理解していない(笑))分かったような気がしました。Tdpの時は使うのですね。今度から調剤するときは心電図の記録(リコール)もチェックしてみよう。

 

ちなみにマグネゾールの添付文書↓(パッと見、循環器で使うように見えないので新人の方だと混乱しちゃいますよね)

 

【効能又は効果】
重症妊娠高血圧症候群における子癇の発症抑制及び治療

 

 

 

 

ボスミン注について勉強した

 今日はボスミン注についていつもの本で学んだので書いていきます。

 

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【ボスミンについて】

・心肺停止症例に対する心肺蘇生中に使用することが大半

・心肺蘇生時に静脈内、気管内、骨髄内、心腔内に投与可能

・末梢循環が極端に低下している心肺停止時には生食で後押しをしないとボスミンが心臓まで到達しない

・心肺蘇生時には必要に応じて3~5分毎に繰り返す

・心肺蘇生時の気管内投与は2mgを5~10mlの蒸留水で希釈を必要に応じて3~5分毎に注入。

・心肺蘇生時の静注内、骨髄内投与は1mgを必要に応じて3~5分毎に注入。

 ・重篤なアレルギー・アナフィラキシーショックの場合は0.5mgを筋注。効果がなければ15~20分ごとに投与。

・血管外に漏れ出てしまうと静脈炎は必須。時には周辺皮膚の虚血性壊死が起こる

P.40

 

 ボスミン注を使うときってほとんどが緊急な時だと思うので最初の投与で基本、救急カートから先生が薬使って、救急カートに補充するためのオーダーを後付けでされることが当院だと多いです。なのであんまり処方鑑査という感覚がなくカート補充用ねと簡単に調剤してしまうので勉強になりました。特に心肺蘇生時の投与経路は添付文書に載ってない方法も書いてあったので知れてよかったです。

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ノルアドレナリンについて勉強した

 今日はノルアドレナリンについてこの本で学んだので書いていきたいと思います。

 

 

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ノルアドレナリンについて】

・「ショック状態」、「循環血液量低下を伴う低血圧」、「原因に対する治療に反応しない血圧低下」に対し昇圧目的で使用(特に敗血症性ショックは良い適応)

平均血圧平均血圧最低血圧 +(最高血圧最低血圧)÷ 3)が65mmHg以下の患者に使用すると奏功することが多い

・すでに末梢血管が収縮している場合は有効性は低く、逆効果になることがある。

・通常、0.01~0.02γ(=μg/kg/分)/日で使用されることが多い。

(ただし、状態応じて左記量よりも高用量が必要になることもある)

・下記の2つがあるため必要最小有効量を短時間投与することが原則

(↑①後負荷が増大し、心負荷が増大、②消火器機能低下が起こるため(←腹腔内臓器で血流低下が起こるため))

P.40

 

 

 

 ノルアドレナリンって当院だとあんまり触ることはないので勉強になりました。また、添付文書だと体重あたりの用量の記載はないので参考になりました。

 

補足)ノルアドレナリンの添付文書↓

ノルアドレナリンとして、通常、成人 1 回 1 mgを250mLの生理食塩液、 5 %ブドウ糖液、血漿又は全血などに溶解して点滴静注する。一般に点滴の速度は 1 分間につき0.5~1.0mLであるが、血圧を絶えず観察して適宜調節する。」

 

Ca拮抗薬による浮腫について

 最近、足がむくむとのことで入院した患者さんがいました。

最初、いつもの心不全なのかなと思っていたのですが主治医の先生からアムロジンによる浮腫なんじゃないかとこのとですぐに中止になり、改善して退院となりました。

 

そんなことがあったのでこの本でCa拮抗薬による浮腫を勉強したので書いていきます。

 

 

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【Ca拮抗薬による浮腫について】

・Ca拮抗薬による浮腫は血管拡張が原因で起こる.

・降圧作用(血管拡張作用)の強いアダラートやアムロジンなどのL型のジヒドロピリジン系に多くみられる

・浮腫の頻度は用量依存的に増加する

・浮腫を生じた場合L/N型であるアテレックに変更することで浮腫が改善したという報告あり

・発症する時期:服用開始後、徐々に見られるが一般的に6か月以内が多いとされている。

P.23

 

この患者さんはアムロジンを中止したら浮腫は改善して割かし早く退院となりました。

 

別の患者さんはアムロジン10mgを飲んでから浮腫が出てきてアムロジン中止。しばらくしてアテレックを開始したところ浮腫は出現せず退院されました。

 

その時は同じCa拮抗薬だったら同じように浮腫出るんじゃないかなと思っていたのですがなるほど。先生はアテレックならいけると知っていたのかも知れません。

 

今日も勉強になりました。

 

 

ダイアップについて勉強した

 昨日は外来も院内処方で出さなきゃいけない日だったので普段接しない小児科処方祭りでした。

そんな中、熱性けいれんに対してダイアップが処方されていました。

電子カルテには「ダイアップ2回法」と記載されていました。

今日は熱性痙攣とダイアップについて日経メディカルに書いてあったのでまとめたいと思います。 


【熱性痙攣とは?】
・熱性痙攣:⽣後6カ⽉〜5歳の乳幼児が、38℃以上の⾼熱を出したときに起こす痙攣のうち、原因疾患が明らかではないものを指す。
⼤半は5分以内に治まり予後良好だが、痙攣が持続する場合には注意が必要.

ダイアップの効果発現時間】
ダイアップは投与後15〜30分で有効⾎中濃度に達する

ダイアップを使うときの注意点】
・副反応があるため、熱性痙攣の再発予防⽬的でルーチンに投与する必要はない(「熱性けいれん診療ガイドライン2015」より)
・熱性痙攣が15分以上持続したことがある⼩児は発熱時の予防投与がガイドラインで推奨されている
・初回投与から8時間後に2回⽬を投与すると24時間有効濃度域が維持できる

ダイアップの用法・用量は投与するタイミング】
・用量:1回0.4〜0.5mg/kg(最⼤10mg)を挿肛
・37.5℃を⽬安として、1回目を挿肛し、発熱(筆者の先生は38℃以上を目安にしている)が持続していれば8時間後に同量を追加する

ダイアップの主な副作用】
・ふらふらして寝てしまう、ずっとうとうとしている、起こしても起きない、興奮状態など。

ダイアップを使ってみて副作用が出たとき次回、処方時に提案すること】
ダイアップを使ってみて副作用(ふらふらして寝てしまう、ずっとうとうとしている、起こしても起きない、興奮状態など)が出た場合は投与時間(=延長)や量の調節(=減量)を提案していく。



今日は病棟が大荒れでした。5人退院して6人入院するとか。

なんだそれ!!



ナウゼリン坐剤とアンヒバ坐剤の併用について

 今日は胃腸炎の小児科の子に服薬指導を行いました。

 

処方箋の内容としては

ビオフェルミン

ナウゼリン坐剤

アンヒバ坐剤

 

お母さんから「先生から家に帰ったらすぐに吐き気止めの座薬を使ってくださいと言われました。今、熱が39℃あります。一緒に使ってもいいんですか?」と質問されました。

 

ナウゼリンとアンヒバを同時に使用すると効果が弱まるというのは知っているのですが毎回、どっちが先でどれぐらい間隔をあけるんだっけなと混乱してしまうんですよね。

 

で、少し時間をいただいて調べたところ

ナウゼリン→30分あけて→アンヒバ

 

そうそう。ナウゼリンが先だと思いだしお母さんにお伝えしました。

 

どうせだしもう少し深堀りして勉強してみようかなと思い勉強してみました。

 

まず、なぜナウゼリンを先に入れてアンヒバを入れるのかという理由を書いていきます。( 沖縄県薬剤師会のHPからの抜粋です)↓

 解熱剤の坐薬には油脂性の基剤(薬を溶かし込んでいる部分)が使われています。一方、吐き気止めの坐薬の成分は、油に溶けやすい性質を持っています。
ですから解熱剤の坐薬を先に使うと、後から入れた吐き気止めの成分が、解熱剤の基剤に取り込まれてしまいます。
その結果、吐き気止めの薬の吸収が遅れ、効果が弱まってしまうおそれがあります。
まず最初にナウゼリン®坐剤を入れ、その後30分以上待ってからアンヒバ®坐剤を使って下さい。

 

水溶性性基剤→30分あけて→油脂性基剤の順番ということですね。

 

キョーリン製薬から出されているドクターサロンには以下の内容もありました。

 

・基剤が一緒だったら薬効から考える

→緊急を要する坐剤(熱性痙攣時の抗痙攣薬(ダイアップなど)、喘息の薬(アルビナなど)、吐き気止め(ナウゼリンなど)などどうしても効果が大事なものをまず最初に入れる→次に解熱剤(アンヒバなど)とか抗生物質を入れ、下剤の坐剤は最後にします。

 

・坐薬が何性なのかと見分け方↓

油脂性のもの:基剤にハードフット

水溶性のもの:基剤にマクロゴール

と書かれていることが多い

 

今日も勉強になりました。

 

 

 

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ワソラン注について調べてみた

 今日は先生からワソラン注をどれぐらいの間隔をあけて1日何回まで使用してよいのかと相談があり「循環器診療 レジデント・ザ・ベーシック」で調べたので書いていきます。

 ちなみに添付文書上は下記の通りにしか書いてないです。

「通常、成人には 1 回 1 管(ベラパミル塩酸塩として5 ㎎)を、必要に応じて生理食塩水又はブドウ糖注射液で希釈し、 5 分以上かけて徐々に静脈内に注射する。なお、年齢、症状により適宜増減する。」

 

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・総量は10mg/日(=2A/日)程度にとどめる

・習慣的にSBP:100mmHg程度が保たれていることを確認してから投与

(ただし、心エコーでEFが保たれているようなら100mmHg以下でも投与することがある)

・ワソラン1A(5mg/A)を生食10~20mlに溶解→2.5~5mgを緩徐に静注→心電図、血圧をモニターしながら投与を行い、効果が乏しければ15~30分毎に追加投与を行う

・ワソラン2.5~5mgを生食50~100mlに溶解、30分程度かけて点滴静注→心電図、血圧をモニターしながら投与を行い、効果が乏しければ15~30分毎に追加投与を行う

 

P.471

アンカロン、シンビットを調べてみた⑥

 続きを書いていきます。

 

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【アンカロン錠の維持量】

副作用の頻度は維持量と投与期間に比例する

→有効性を維持しながら最低限の用量を目指す

(筆者の先生が目指している最終的な維持量↓)

心房細動:50mg/日程度

心室頻拍(VT):100mg/日程度

埋込み型除細動器(ICD)拒否例の代替療法:200mg/日程度

P.192

 

【心房細動に対するアンカロンの試験】

AF-CHF試験

試験対象:低左心機能(EF<35%)の心房細動患者

結果:アンカロン投与群とレートコントール群で有効性は同等だった

P.184

 

【ICD埋込み患者とアンカロン

OPTIC試験

試験対象:ICD埋込患者

結果;β遮断薬単独よりもβ遮断薬+アンカロンのほうがICDの作動を抑制できた

P.184

 

 

【心臓手術周術期にアンカロン予防投与】

アンカロン錠10mg/kg/日を術前6日から開始、術後6日(OPE日を含む13日間の投与

(↑予防投与を行うことで心臓手術後の合併症として一般的な心房頻拍の発生率をプラセボに比べ優位に下げたという報告あり)

補足)心房頻拍:心房細動と心房粗動

P.185

https://medical.nikkeibp.co.jp/inc/all/hotnews/archives/418899.html

 

(感想)

 当院には心臓外科がないのでアンカロンを予防投与することはないですが疾患毎(心房細動、心室頻拍(VT)、埋込み型除細動器(ICD)拒否例の代替療法)にアンカロンの維持量の目安があると知れたのはとても勉強になったなーと思いました。(添付文書には疾患毎の用量は記載ないです)

 

 

アンカロン、シンビットを調べてみた⑤

 続きです。

 

 

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【アンカロン甲状腺機能障害の対応】

・アミオダロン誘発性甲状腺中毒症(AIT)、甲状腺機能亢進症、甲状腺機能低下症を起こす。(頻度は甲状腺機能低下症が多い)

 

・TSHの上昇について

投与開始の一時的なTSHの上昇:経過観察で問題ない

投与開始から1~2年で徐々に上昇する、TSH高値を維持する:甲状腺ホルモン補充療法を行う

 

甲状腺ホルモン補充療法)

TSH:10~15μU/日未満になるように甲状腺ホルモンを補充

心不全患者や高齢者では甲状腺ホルモン12.5μg/日からの慎重投与が望ましい

 

 

(アミオダロン誘発性甲状腺中毒症)

甲状腺中毒症

AIT(Ⅰ型)

(バゼドウ病の顕在化)

AIT(Ⅱ型)

(破壊性甲状腺炎による)

病態

甲状腺ホルモンの過剰な産生分泌

貯蔵された甲状腺ホルモンの過剰な漏出

FT4

高値

高値

TSH

低値

低値

抗TSH受容体抗体

陰性~陽性

(バゼドウ病では陽性)

通常陰性

(弱陽性のことあり)

治療(軽症)

甲状腺

経過観察

(FT4:2~4ng/dL)

治療(中等~重篤

甲状腺

副腎皮質ステロイド薬(※)

不整脈が出現したり、FT4高値)

※PSL 0.5mg/kg/日程度を投与する:インターロイキン(IL)-6を抑制する目的で投与する

 

【アンカロン+ワーファリン、ジゴキシン

ワーファリン、ジゴキシンと併用する場合はワーファリンやジゴキシンの作用が増強するためワーファリンやジゴキシンを2/3量~半量に減量することが望ましい

P.192

Vassallo P,et al:JAMA,298(11):1312-1322,2007.

 

(感想)

 間質性肺炎に対してPSLを投与するっていうのは知っていましたが甲状腺中毒症(AIT(Ⅱ型))にPSLを使用するっていうのを知りませんでした。(むしろ「甲状腺中毒症」っていう病名を知りませんでした。ごめんなさい)

 

 また、ワーファリンやジゴキシンとの相互作用についても勉強になりました。ジゴキシンとアンカロンを併用するかっていうとあんまりないのではないかと思うのですがワーファリンとは併用することありえると思いますし、減量の目安まで書いてあったのでとても勉強になりました。

 

アンカロン、シンビットを調べてみた④

 今回はアンカロンの副作用に対しての対策をいつもの本で学んだので書いていきます。

 

 

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【アンカロンによるQT延長の対応】

QTc>550msec以上:一時的に減量や電解質の補正を行う

QTc>600msec以上:内服の中止&入院での電解質異常の補正

P.192

 

【アンカロンによる肺障害の対応】

自覚症状(咳、痰・感冒症状など)、KL-6>500U、%DLcoの15~20%の低下がある

→胸部X線や胸部CTを施行して間質性肺炎の有無をチェックする

間質性肺炎があるようなら以下の治療を行う

軽症:アンカロンの減量や中止

中等度:0.5~1mg/kgのPSL

重症:ステロイドパルス療法

P.192

 

(感想)

 アンカロンを点滴と内服薬を併用していた時にQTが延び気味になったところを見たことがありますが1回だけです。

 間質性肺炎に関しては見たことないですね。リウマトレックスで間質性肺炎になった患者さんは見たことがあります。多分、アンカロンだからとかリウマトレックスによる間質性肺炎だからということでPSLの量は変わらないと思うのでとても勉強になりました。

 

 

アンカロン、シンビットを調べてみた③

 続きを書いていきます。

 

 

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【アンカロンの副作用チェック】

・房室ブロック、QT延長がないかを確認

・3か月ごとにKL-6を測定

・可能であれば1年ごとに呼吸機能検査(%DLcoを含む)を行う

・3か月ごとにTSH、FT-4(±FT-3)を測定

・角膜への色素沈着はほぼ全例で認める(ただし、通常は無症状。マレに視覚障害、光線過敏症、視神経炎などを認めることがある)

・肝障害(低用量では起こりにくい。経口よりも注射薬で起こりやすい(注射薬の溶媒に含まれるソルベート80による影響が大きいと考えられている))

・ワーファリン、ジゴキシンと併用する場合は注意

・副作用の頻度は維持量と投与期間に比例する

→有効性を維持しながら最低限の用量を目指す

P.185、192、195

 

(感想)

 アンカロンの副作用と言われると真っ先に間質性肺炎甲状腺機能異常症、QT延長が頭に浮かびますよね。ただ、肝機能異常って私はなんかあんまりピンと来なかったんですが注射薬の溶媒が影響している可能性があるんですね。勉強になりました。