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【DVTの治療目標】
②血栓後症候群(PTS)発症を最小限に留めること
③DVTの再発を予防すること
抗凝固療法は血栓進展、PEの予防、DVT発症予防に用いる
使う薬剤:ヘパリン、DOAC、ワーファリン
②血栓後症候群(PTS)発症を最小限に留めること
抗凝固療法のほか全身的血栓溶解療法、カテーテル血栓溶解療法(CDT)がPTS発症予防として使用されることがある。
補足)血栓後症候群(PTS):重症DVT後に発症する後遺症の1つ。静脈の慢性閉塞や慢性閉塞に伴う静脈弁機能不全により下肢倦怠感や難治性皮膚潰瘍など患者のADLを著しく低下させる
・血栓溶解療法(ウロキナーゼ):DVT再発予防効果、PTS発症予防効果あり。
(t-PAに関してはDVTに適応がない&高率の出血性合併症があるためt-PAをDVTに使用することは推奨されていない)
・カテーテル血栓溶解療法(CDT):PTSの発症を抑制する。カテーテルで直接的に血栓溶解剤(ウロキナーゼ)を投与でき、血栓溶解剤(ウロキナーゼ)の使用量を減らせるので全身投与よりも安全。
カテーテル施行中は血栓伸展防止および再発予防のために未分画ヘパリンによる抗凝固療法が併用→経口可能となれば経口抗凝固薬(DOAC、Wfなど)→その後血栓を生じたリスクに応じて抗凝固療法を継続
CDTのよい適応:腸骨大腿静脈領域のDVT,症状発現から14日未満 の急性血栓,良好な身体機能,1年以上の生命予後,出血リスクの低い患者
③DVTの再発を予防すること
再発予防のための抗凝固薬の内服期間
・生涯、抗凝固療法の継続が必要である場合も少なからずある
=慢性期において出血性合併症のリスクとなる
→ここでいう「より長期投与」=「いつまで抗凝固薬を使用するかの明確な答えはない」
→ここでいう危険因子は「DVTのリスク因子」を参照
・DVT再発予防内服におけるリスクとベネフィットを考えるときに参考にする項目
①病型(末梢型、中枢型)
②誘発因子およびPTE合併の有無
③年齢
④慢性期での下肢静脈エコーや造影CTの所見(残存血栓の有無、可動性、エコー輝度)、D-ダイマー値
⑤出血性合併症の有無
→上記を勘案しながら抗凝固薬の継続期間や投与量を調節する
・DVTの再発予防で内服していた抗凝固薬をやめた後の注意点
血流停滞を引き起こす脱水、長時間の同姿勢保持の回避、弾性ストッキング着用の指導し、再発予防に努める
・抗凝固療法の生涯継続が必要である場合もある