病院薬剤師と処方箋

日々の処方鑑査や患者さん、お医者さんから質問されたことを自分なりに調べてアウトプットするブログです。

コロナにかかった人はワクチン1回でもいける?①

 今日はコロナにかかった人はワクチンは1回接種でもいいんじゃないか?という論文が2つあったので書いていきます。

まず1つ目は日経メディカルに載ってた「既感染者へのCOVID-19ワクチン(※1、2)は1回が適切」というタイトルで書かれていた論文です。

発表者:米国Mount Sinai Icahn医科大学のFlorian Krammer氏
掲載日:
背景&目的:SARS-CoV-2ワクチンの接種を受けた既感染者の抗体反応と有害事象の発⽣率を未感染者の場合と⽐較
対象人数:109⼈(抗体陰性の68⼈と抗体陽性の41⼈)
結果:

効果の比較)
未感染者のスパイク蛋⽩質(※3)に対する抗体価(※4)の中央値
接種前:1(68⼈)、初回接種9〜12⽇後:439(13⼈)、初回接種13〜16⽇後:1037(15⼈)、初回接種17〜20⽇後:1037(15⼈)、初回接種21〜24⽇後:1075(11⼈)
2回⽬接種後:1399(21⼈)

既感染者のスパイク蛋⽩質に対する抗体価の中央値
初回接種前:91(41⼈)、初回接種5〜8⽇後:14208(15⼈)、初回接種9〜12⽇後:20783(8⼈)、初回接種13〜19⽇後:25927(20⼈)、初回接種17〜20⽇後:102661(5⼈)、初回接種21〜24⽇:16263(4⼈)
2回⽬接種後:22509(20⼈)

→既感染者の場合はワクチンの初回接種後、速やかに免疫反応が起こり、誘導される抗体価は未感染者の2回目接種後と同レベル以上だった。
(既感染者の抗体価は、評価されたどの時点でも、未感染者の10〜20倍⾼く、さらに、再接種後の抗体価も未感染者の10倍を超えていた)

副反応の比較)
未感染者と既感染者で副反応の発生率に差はなかった
未感染者、既感染者ともに最も多く⾒られた副反応は注射部位の症状(疼痛、腫脹、紅斑)(しかし、疲労感、頭痛、悪寒、発熱、筋痛または関節痛などの全⾝性の症状は既感染者に有意に多く発⽣していた。)
既感染者では初回接種後に未感染者の2回接種後の人々に報告されていると同様の全身性の反応が見られた。

まとめ
SARS-CoV-2感染歴のある人に対するワクチンの接種は単回でも十分な効果が得られ、有害事象を減らせると考えられている。

(※1コミナティ:SARS-CoV-2のスパイクタンパク質の設計図となるmRNAを脂質の膜に包んだ製剤でmRNAワクチンと呼ばれる)
(※2コミナティの作用機序:コミナティ(mRNA)接種→mRNAがヒトの細胞内に取り込まれる→接種されたmRNAを基に細胞内でウイルスのスパイクタンパク質が産生される→スパイクタンパク質に対する中和抗体産生及び細胞性免疫応答が誘導される→SARS-CoV-2による感染症の予防が可能になる)
(※3スパイク蛋白質:ウイルスがヒトの細胞へ侵入するために必要なタンパク質)
(※4抗体価:値が大きい程、中和活性(※5)が高いことを示す)
(※5中和活性:ウイルスの感染力又は毒素の活性を中和する)

補足参考:厚労省HP



(感想&そのほか)
この前私がYoutubeでホラー系の動画を見るのが好きというのを書きましたが私には霊感や霊体験は全くありません(笑)

コロナワクチンを接種した後の接種部位の痛みや発熱に使えるアセトアミノフェン(=商品名:カロナール)単剤の市販薬です。接種後、仕事などがあって病院かかってる暇がないよという方は下のリンクから購入できますのでお買い求め頂けたら↓
(個人的には病院にかかっていただいて先生から処方してもらったほうが良いのかなと思います。なぜなら病院にかかることでコロナワクチンによる副反応がどれぐらいの頻度で出るのか先生たちや製薬会社がより詳細に把握できるからです。
まだ、ワクチンが出来て時間が経っておらず未知数な部分もあります。これからより詳細なデータが集まって世界中の人が有効かつ安全にワクチンが接種できるようになればいいなーと思います)







最近は報道の影響でアセトアミノフェン(=カロナール)が入手しづらいみたいですね。
アセトアミノフェンが一番安全ではあります(腎機能が悪い方や喘息のある患者さん、妊婦さん、消化性潰瘍の方にも比較的使用しやすいです)がロキソプロフェンやイブプロフェンといったNSIADsもアスピリン喘息や腎機能障害がない、成分にアレルギーがない方、妊娠している可能性がない方、消化性潰瘍がない方にはむしろNSAIDsのほうがアセトアミノフェンよりも解熱や鎮痛効果は高いので良いのではないかと思います。

厚労省もNSAIDs(ロキソプロフェンやイブプロフェンなどのグループ名)の使用を承認しています。また、コロナが流行り始めた初期にWHOからイブプロフェンを飲むとコロナが悪化するので飲むのを控えるようにと発表がありましたが根拠とする理由が曖昧だったり、症例数がとても少なかったこともありそのあと発表を撤回して研究中と文言を変更しています。

なので腎機能が悪い、喘息がある、今までに薬でアレルギーが出た、妊娠中、消化性潰瘍になったことがあるといった方でない限りロキソプロフェンやイブプロフェンといったアセトアミノフェンではない解熱鎮痛剤でも問題ないのではないかと個人的には思います。以下にイブプロフェンやロキソプロフェンを含んだ市販の解熱鎮痛剤のリンクを貼っておきますのでどうしても受診できないという方はお買い求めください。