病院薬剤師と処方箋

日々の処方鑑査や患者さん、お医者さんから質問されたことを自分なりに調べてアウトプットするブログです。

コロナにかかった人はワクチン1回でもいける?②

 2個目の論文はCarenetに「新型コロナワクチン、既感染者での効果は?」というタイトルで載っていた論文です。

発表者:イタリア・シエナ大学のGabriele Anichini氏
掲載日:2021 4/14
背景、目的、方法:既感染者は初回接種の10日後に、未感染者は2回目接種の10日後に血清サンプルを採取し、抗体応答を比較する
対象人数:SARS-CoV-2既感染者38人、未感染者62人
結果:
・血中循環抗スパイクIgG抗体力価は、既感染者と未感染者で有意差はなかった。
・特異的抗SARS-CoV-2中和抗体の幾何平均力価は、既感染者(569、95%CI:467〜670)と未感染者(118、95%CI:85〜152)に差がみられた。
・既感染者を感染からワクチン接種までの期間が1〜2ヵ月、2〜3ヵ月、3ヵ月以上の3グループに分類したところ、血中循環IgG抗体の平均力価は、感染1〜2ヵ月後に接種したグループと2〜3ヵ月後に接種したグループで差がみられた。
感染2~3ヵ月後に接種されたグループと3ヵ月以降に接種されたグループの間には有意差はみられなかった。

中和抗体の幾何平均力価では、感染1〜2ヵ月後に接種されたグループが437(95%CI:231〜643)、2~3ヵ月後に接種されたグループが559(同:389~730)、3ヵ月以降に接種されたグループが694(同:565~823)であった。

感染後3ヵ月以上以降に接種するとブースター反応がより効果的であることを示しているが、決定的な結論を下すには十分ではなかった。

まとめ
SARS-CoV-2既感染者のワクチン単回接種後は未感染者の2回目接種後より強い液性応答を示す可能性がある

※中和抗体:ウイルスの感染力又は毒素の活性を中和できる抗体のこと


(感想&その他)
前回の研究も今回の研究も100人と規模が小さいながらもコロナ感染者は数限りある資源を有効活用するという面や副反応の面で単回投与でよいのではないかという結論のようですこれからデータが集まるにつれガイドラインにも反映されるのかなー。今回の結果がそのまま反映されるのかくつがえされるのか分かりませんが注視していきたいとおもいます。

コロナワクチンを接種した後の接種部位の痛みや発熱に使えるアセトアミノフェン(=商品名:カロナール)単剤の市販薬です。接種後、仕事などがあって病院かかってる暇がないよという方は下のリンクから購入できますのでお買い求め頂けたら↓
(個人的には病院にかかっていただいて先生から処方してもらったほうが良いのかなと思います。なぜなら病院にかかることでコロナワクチンによる副反応がどれぐらいの頻度で出るのか先生たちや製薬会社がより詳細に把握できるからです。
まだ、ワクチンが出来て時間が経っておらず未知数な部分もあります。これからより詳細なデータが集まって世界中の人が有効かつ安全にワクチンが接種できるようになればいいなーと思います)








最近は報道の影響でアセトアミノフェン(=カロナール)が入手しづらいみたいですね。
アセトアミノフェンが一番安全ではあります(腎機能が悪い方や喘息のある患者さん、妊婦さん、消化性潰瘍の方にも比較的使用しやすいです)がロキソプロフェンやイブプロフェンといったNSIADsもアスピリン喘息や腎機能障害がない、成分にアレルギーがない方、妊娠している可能性がない方、消化性潰瘍がない方にはむしろNSAIDsのほうがアセトアミノフェンよりも解熱や鎮痛効果は高いので良いのではないかと思います。

厚労省もNSAIDs(ロキソプロフェンやイブプロフェンなどのグループ名)の使用を承認しています。また、コロナが流行り始めた初期にWHOからイブプロフェンを飲むとコロナが悪化するので飲むのを控えるようにと発表がありましたが根拠とする理由が曖昧だったり、症例数がとても少なかったこともありそのあと発表を撤回して研究中と文言を変更しています。

なので腎機能が悪い、喘息がある、今までに薬でアレルギーが出た、妊娠中、消化性潰瘍になったことがあるといった方でない限りロキソプロフェンやイブプロフェンといったアセトアミノフェンではない解熱鎮痛剤でも問題ないのではないかと個人的には思います。以下にイブプロフェンやロキソプロフェンを含んだ市販の解熱鎮痛剤のリンクを貼っておきますのでどうしても受診できないという方はお買い求めください。