病院薬剤師と処方箋

日々の処方鑑査や患者さん、お医者さんから質問されたことを自分なりに調べてアウトプットするブログです。

感染性心内膜炎について学んだった④

 続きです。

 


 

【感染性心内膜炎のエンペリック治療】

IEでは「培養途中経過判明前」というのは少ない(←IEの診断には血液培養陽性が基本だから)

IEで血液培養陽性前から治療するのは「先行する抗菌薬の影響で培養が生えてこない+心不全など合併していて重症の場合」

→このようなケースでは自然弁でもVCM+GMも致し方ない。(ただ、長期投与による腎機能障害は必発なのでできれば避けたい)

P.132

 

【どうしてもグラム染色のみからIEの抗菌薬治療をする場合】

 

連鎖球菌様のグラム陽性球菌

CEZ2g×3(←医療暴露歴があればVCMに切り替え)+GM3mg/kg×1

P.135

 

 

IEの培養最終結果判明後の抗菌薬】

連鎖球菌(Viridans streptococcus、bovisなど)

ペニシリンのMIC<0.12μg/ml)

1.  PCG 300万単位×6

2.  PCG 900~1000万単位×2(持続点滴)

3.  ABPC 2g×4

4.  ABPC 3g×4(持続点滴)

連鎖球菌(Viridans streptococcus、bovisなど)

ペニシリンのMIC:0.12~0.5μg/ml)

1.  PCG 400万単位×6+GM 3mg/kg×1

2.  PCG1200万単位×2(持続点滴)+GM 3mg/kg×1

3.  ABPC 2g×6+GM 3mg/kg×1

4.  ABPC3g×4(持続点滴)+GM 3mg/kg×1

MSSAの場合(自己弁)

CEZ 2g×3±GM 3mg/kg×1

MSSAの場合(人工弁)

CEZ 2g×3±GM 3mg/kg×1+RFP900mg/3×

MRSAの場合(自己弁)

VCM15mg/kg×2±GM 3mg/kg×1

MRSAの場合(人工弁)

VCM15mg/kg×2±GM 3mg/kg×1+RFP900mg/3×

腸球菌(ABPC感受性(+)+GM感受性(+))

ABPC 2g×6+GM 3mg/kg×1

腸球菌(ABPC感受性(-)+GM感受性(+))

VCM 15mg/kg×2+GM 3mg/kg×1

※連鎖球菌のMICによってPCG、ABPCの用法・用量が異なるので注意!!

GM黄色ブドウ球菌、腸球菌のある程度の活性があり、β-ラクタム系などと併用される

GM緑膿菌を含む多くの好気性グラム陰性桿菌がメインのターゲット

GM:腸球菌感染症にはペニシリンやVCMといった細胞壁に活性のある抗菌薬との併用が必須

GM:腸球菌感染症に使用する場合はMIC<500μg/mlを確認してから使う(耐性の場合は使用できない)

※連鎖球菌がIEの起因菌の場合、PCGが基本。

※PCG:100万単位あたりK:1.68mEq入っている。末梢から投与する場合は濃度:40mEq/L以下、投与速度:20mEq/hr以下となるようにする。静脈炎に注意!!

※PCG:感染性心内膜炎の量を使用するとそれなりのボリューム負荷になるので注意

※ABPC:室温で不安定。持続点滴には不向き。ただ、生理食塩液に溶解。6時間毎の持続点滴は可能(ブドウ糖は3時間で85%まで活性低下してしまうので不向き)

P.133、138、レジデントのための感染症マニュアルP.144、151、P.649

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