続きです。
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【感染性心内膜炎のエンペリック治療】
・IEでは「培養途中経過判明前」というのは少ない(←IEの診断には血液培養陽性が基本だから)
・IEで血液培養陽性前から治療するのは「先行する抗菌薬の影響で培養が生えてこない+心不全など合併していて重症の場合」
→このようなケースでは自然弁でもVCM+GMも致し方ない。(ただ、長期投与による腎機能障害は必発なのでできれば避けたい)
P.132
【どうしてもグラム染色のみからIEの抗菌薬治療をする場合】
連鎖球菌様のグラム陽性球菌 |
CEZ2g×3(←医療暴露歴があればVCMに切り替え)+GM3mg/kg×1 |
P.135
【IEの培養最終結果判明後の抗菌薬】
連鎖球菌(Viridans streptococcus、bovisなど) (ペニシリンのMIC<0.12μg/ml) |
1. PCG 300万単位×6 2. PCG 900~1000万単位×2(持続点滴) 3. ABPC 2g×4 4. ABPC 3g×4(持続点滴) |
連鎖球菌(Viridans streptococcus、bovisなど) (ペニシリンのMIC:0.12~0.5μg/ml) |
1. PCG 400万単位×6+GM 3mg/kg×1 2. PCG1200万単位×2(持続点滴)+GM 3mg/kg×1 3. ABPC 2g×6+GM 3mg/kg×1 4. ABPC3g×4(持続点滴)+GM 3mg/kg×1 |
MSSAの場合(自己弁) |
CEZ 2g×3±GM 3mg/kg×1 |
MSSAの場合(人工弁) |
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MRSAの場合(自己弁) |
VCM15mg/kg×2±GM 3mg/kg×1 |
MRSAの場合(人工弁) |
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腸球菌(ABPC感受性(+)+GM感受性(+)) |
ABPC 2g×6+GM 3mg/kg×1 |
腸球菌(ABPC感受性(-)+GM感受性(+)) |
VCM 15mg/kg×2+GM 3mg/kg×1 |
※連鎖球菌のMICによってPCG、ABPCの用法・用量が異なるので注意!!
※GM:黄色ブドウ球菌、腸球菌のある程度の活性があり、β-ラクタム系などと併用される
※GM:緑膿菌を含む多くの好気性グラム陰性桿菌がメインのターゲット
※GM:腸球菌感染症にはペニシリンやVCMといった細胞壁に活性のある抗菌薬との併用が必須
※GM:腸球菌感染症に使用する場合はMIC<500μg/mlを確認してから使う(耐性の場合は使用できない)
※連鎖球菌がIEの起因菌の場合、PCGが基本。
※PCG:100万単位あたりK:1.68mEq入っている。末梢から投与する場合は濃度:40mEq/L以下、投与速度:20mEq/hr以下となるようにする。静脈炎に注意!!
※PCG:感染性心内膜炎の量を使用するとそれなりのボリューム負荷になるので注意
※ABPC:室温で不安定。持続点滴には不向き。ただ、生理食塩液に溶解。6時間毎の持続点滴は可能(ブドウ糖は3時間で85%まで活性低下してしまうので不向き)
P.133、138、レジデントのための感染症マニュアルP.144、151、P.649
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