今日は抗うつ薬にドグマチールが併用されている場合の処方意図について書いていきます。
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【ドグマチールについて】
添付文書より↓
・統合失調:300~600mg/日 MAX:1200mg/日
・うつ病・うつ状態:150~300mg/日 MAX:600mg/日
・胃・十二指腸潰瘍:150mg/日
(↑ドグマチールは胃の働き循環運動(胃粘膜の血流)を改善→消化器症状、吐き気を抑える→食欲を増進する)
P.35
・統合失調症は300~600mg/日、 MAX:1200mg/日なのでドグマチール150mg/日の場合は統合失調症とは考えにくい
・150mg/日なので抗うつ作用を期待しての処方とも考えられるが抗うつ薬が併用されているので単純にドグマチールが抗うつ作用を期待してというわけでもない。
→ドグマチールは単純に抗うつ薬として処方されたものではなく「食欲不振の改善」に処方されている
→「食欲がない」と訴えるうつ患者にドグマチールはよく処方される
P.35
【抗うつ薬+レスリン、ドグマチール、制吐剤が処方される理由】
・SSRI、SNRI、NaSSAの初回投与からレスリン、ドグマチール、制吐剤(プリンペラン、ナウゼリン)を併用することがある
・抗うつ薬の投与初期に起こりやすい強い吐き気などの副作用(多くは2週間ほどで治ることが多い)対策としてレスリン、ドグマチール、制吐剤(プリンペラン、ナウゼリン)を併用する
・ドグマチールやレスリンは抗うつ薬の服用開始初期に併用する理由として①抗うつ効果と②消化器症状の改善効果を期待して処方される
P.36
・ジェイゾロフト、ドグマチールともにQT延長の副作用があり、併用することでQT延長リスクが高まる
・QT延長の兆候:「めまい」、「ふらつき」、「立ち眩み」、「動悸」
P.36
(感想&その他)
精神科のない当院でも時々、先生が思い立ったかのようにメンタルっぽい患者さん(メンタルの既往歴はない)の食欲不振にドグマチールを処方することがあります。ただ、個人的にはあまり効果を実感したことはないです。