病院薬剤師と処方箋

日々の処方鑑査や患者さん、お医者さんから質問されたことを自分なりに調べてアウトプットするブログです。

アンカロン、シンビットを調べてみた②

 今日はVT/VFの第一選択薬の残りの1つ・シンビットを勉強したので書いていきます。

 

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【シンビットについて】

・陰性変性がない

・腎排泄型のため腎機能低下患者には使用しづらい

・シンビットのQT延長は劇的(モニターしたで注意深い観察が必要)

(↑アンカロンのQT延長は軽度)

・シンビットは即効性が期待できる

目の前で頻回の発作を起こしている状況ではまずシンビットの単回静注療法を行う

 

・用法・用量

①添付文書に書いている用法・用量↓

単回静注法:0.3mg/kg/5分→維持静注法:0.4mg/kg/時

 

②本で推奨している用法・用量

→もともとのQT時間や腎機能に応じて添付文書に書いている用法・用量の半量程度から投与

単回静注法:0.15mg/kg/5分→維持静注法:0.2mg/kg/時

P.181、シンビットHP

 

【シンビットの副作用対策】

シンビット使用時は心電図をつけQTをモニターする

・心電図モニターあるいは12誘導心電図で維持静注中にQT=500msecあるいはQTc=550msec程度に延長し、かつ治療対象不整脈が抑制されている場合は減量ないしは中止を考慮する。

・同一の点滴量を投与していても、突然にTdPが出現することがあるので、心電図モニターの監視を継続する。

⑤T波形の変化やQTcの顕著な延長(QTc>600msec)、かつ新たな心室性期外収縮の多発が認められた場合には、速やかに一旦中止する。

P.42、シンビットのHP

 

(感想)

 当院にもシンビットは採用しており在庫もおいてありますが1回も触ったことないです。本には詳しくは書いてなかったですがアンカロンとシンビットの使いわけってどうやってやるんですかね?本に書いてある内容を加味すると速効性を期待するならシンビット、安全性をとるならアンカロンって感じですかね?あとは肝臓や腎臓の状態でも使いわけができるのかな?

 

 

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アンカロン、シンビットを調べてみた①

 今日はVT/VFの第一選択薬のアンカロンについて調べたので書いていきます。

 

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【アンカロンについて】

・マルチチャネル遮断薬(急性作用と慢性作用が異なる)

急性作用(注射薬):QT延長効果は認めにくい

(↑Naチャネル遮断作用とCaチャネル遮断作用が全面に出てくるため)

慢性作用(経口薬):QT延長が出現する

(↑Caチャネル、β受容体、Ifチャネル抑制作用などの徐拍化効果によってQT延長が起きる)

・心機能低下例にも使用可能&肝代謝型のため腎機能低下患者にも使用可能

・アンカロンのQT延長は軽度(シンビットのQT延長は劇的)

・アンカロンはシンビットと比較して速効性はない。

・アンカロンはシンビットに比べtorsade de pointesを起こしにくい

・心臓手術周術期にアンカロンの経口薬を予防投与することで心房細動・心房粗動が減少することが報告されている

・アンカロン血中濃度はアミオダロンとデスエチルアミオダロン(DEA:アミオダロンの活性代謝物)の合計で2.5μg/mlを超えないようにする

・急速投与:125mg/10分→負荷投与:50mg×6時間→維持投与:25mg×42時間

 

P.181、183

 

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  当院ではアンカロンを扱うことがほとんどないのでとても勉強になりました。アンカロンの作用に急性作用と慢性作用があるなんて知りませんでしたし、何よりイメージとして経口薬より注射薬のほうがQT延長が起こりやすいのかなと思っていたので意外でした。

 また、アンカロンって毒薬に分類されるじゃないですか?なので心機能低下例には使用しづらいのかな、腎機能でも調節が必要なんだろうなと思っていたら真逆でしたね。

 

ただ、注射薬の用法・用量覚えるの難しいですよね。

 

うちの病棟ではアンカロン注の棚に用法・用量が書かれた表が置いてあり、必要時にチェックできるようになっています。

 

 

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VT/VFを調べてみた②

 続きを書いていきます。

 

 

 

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【VTとⅢ群治療薬】

・VTの多くはリエントリーが原因

・Ⅲ群治療薬は心室不応期の延長によりリエントリーを停止させることで抗不整脈効果を示す

P.181

 

【VT/VFの治療】

第一選択薬:アンカロン、シンビット

(アンカロンは内服薬と注射薬両方あるがシンビットは注射しかないため内服切り替え時にはソタコール(←シンビットと同じKチャネル遮断薬)が処方されることが多い)

P.181

 

【アンカロン、シンビットの併用について】

アンカロン、シンビットどちらか1剤が無効の場合にはQT時間に注意しながらアンカロン+シンビット療法を検討する。(ただし、この2剤の併用は添付文書上、禁忌)

P.181

 

【アンカロン、シンビット+オノアクト】

Ⅲ群抗不整脈抵抗性の難治性VT/VF患者にⅢ群治療薬+オノアクト(←5γ程度)を投与すると79%でelectrical stormを回避したという報告がある

P.182

 

アンカロンとシンビットを併用するなんて初めて知りました。

まぁでも当院では併用するようなことはない…

と願いたいです。

絶対、もめるから。

 

 

P.S今日は大雨で雷もゴロゴロ鳴っていました。

泣くかなーと思っていましたが娘は全く泣きませんでした。

 

 

 

 

感染性心内膜炎について学んだった⑥

 続きです。

 


 

【感染性心内膜炎と合併症】

IEは血流にのって全身に菌が回る→全身の臓器への感染症を引きおこす可能性がある。

→痛みを訴える部位は常にその部位の膿瘍性病変がないかを画像チェック

・心臓への感染なので循環動態への影響がある合併症を引き起こす可能性がある

心不全くも膜下出血

 

臓器

IEの合併症

補足説明

心臓

・うっ血性心不全

・弁破壊に伴う弁逆流

・疣贅による流出路閉塞

・弁周囲膿瘍、心筋膿瘍

不整脈(房室ブロック、脚ブロック)

心外膜炎心筋梗塞

・新たに出現した心電図異常は心筋深層への感染の波及を示唆する。

中枢神経

脳梗塞

・感染性脳動脈瘤

くも膜下出血

(↑頭蓋内の末梢動脈の感染性動脈瘤の破綻が原因)

・脳膿瘍、髄膜炎

・神経所見の有無に注意する

・治療開始後でも急な意識障害で発症することがある。

・頭蓋内動脈瘤は破裂した場合、極めて死亡リスクが高い。

★中枢神経合併症抗菌薬開始後も起こりうるため、IEでは抗菌薬開始後に少しでも

神経症状を訴えた場合、積極的な画像検索が重要!!

動脈瘤

・感染動脈瘤

(腹部大動脈、腸管膜動脈、腎動脈、Valsalva洞など)

・治療開始後の急なショックバイタルでは常に考える。

腎臓

・免疫現象による腎炎

・腎梗塞(感染性塞栓による)

・薬剤による腎毒性

・腎機能悪化時には感染に伴うものか薬剤性かは判別不能であり、薬剤性として対応するしかない。

転移性病巣

(局所の化膿性疾患)

・骨髄炎

・硬膜外膿瘍

・脾膿瘍

・筋肉内膿瘍(腸腰筋膿瘍含む)

・化膿性関節炎

・痛みを訴える部位の画像検索は必須。

・それにより治療期間も変わる。

・ドレナージしない膿瘍性病変の治療期間は画像での消失までである。

 

P.140、143、144

 

IE心不全

心不全IEの中で最も多い死因の1つ。緊急手術も多い

(↑弁への感染による弁破壊で疣贅による)

P.143

 

IE心筋梗塞

・疣贅による冠動脈塞栓で心筋梗塞になることもある(ただ、マレ)

P.143

 

IEで膿瘍性病変をしっかり確認する理由】

◎下記の「症状が改善しない」「治療期間が変わってくる」という2つの理由があるため

・膿瘍性病変があればドレナージしないと痛みなど症状が改善しないことが多いから

・ドレナージしない膿瘍性病変の治療期間→画像での消失まで

IEとしての4~6週間治療が終わったから終了というわけではない)

・転移性病巣の膿瘍性病変は初期には画像上ははっきりしないことがある

・初期から痛みがあるけれども入院時の画像でははっきりしなかったのに繰り返し撮って出てくることもある

(初期に痛みがなくて後ほど出てくるといった経過ではない)

P.143、145

 

 

【感染性心内膜炎を疑う条件】

・心臓の基礎疾患のない若年者の心不全→珍しい。IEからの心不全になってないか確認

・不明熱→IEを疑う

・原因不明の心不全IEを疑う

P.142

 

IEの合併症治療】

・骨髄炎合併:IEよりも治療期間が長くなる。

・中枢神経合併:抗菌薬を中枢神経ドーズに増やす必要がある(用量がIE用量を超えることもある)

P.150

 

【中枢神経系への移行性】

中枢移行性が良い:CTRX、ABPC

中枢移行性が悪い:VCM、CEZ

(SBT/ABPCはSBTの髄液移行性のデータに乏しい)

P.150、151

 

IEに中枢神経合併症がある場合の治療(心内膜炎+髄膜炎ドーズ)】

MSSAの場合

 

1.CTRX2g×2±15mg/kg×2

2.MEPM2g×3

3.CFPM1g×3

(※人工弁の場合はRFP900mg/3×の併用を検討)

MRSAの場合

VCM15mg/kg×2

(人工弁の場合にはGM3mg/kg×1+RFP900mg/3×の併用を検討)

※MEPM:治療効果は期待できる可能性があるが長期使用になることを考えると避けたい。

P.151、レジデントのための感染症マニュアルP.649

 

IEの治療期間~弁置換術を行われた場合~】

・弁置換術が施行された場合、自然弁と同じと扱う。

→治療期間は4~6週間(適切な抗菌薬開始日から起算して)(←手術日をday1とする必要はない)

(※ただ、手術時に採った弁培養が陽性の時のみ手術日をday1とする)

P.151

 

IEは長期治療になる】

抗菌薬長期使用では原疾患の治療がスムーズに終了することのほうが珍しい

抗菌薬による副作用は必発(CDIなど)

薬疹が出た場合は適切な抗菌薬への変更などを迅速に対応する

感染性心内膜炎について学んだった⑤

 続きです。

 

 


 

【菌名・感受性結果が分からない3つの状況】

  • 適切に培養を提出していて、結果が判明する前に抗菌薬を提示する場合
  • 先行する抗菌薬使用のため、培養で菌が検出されない状況で抗菌薬を提示する場合
  • 適切に培養を提出していて、最終的に培養が陽性にならない場合

P.133

 

IEの経過観察】

・血液培養陰性化が治療効果判定としては重要!!

・解熱するのに1週間程度(5~10日)

★大切なのは「手術の適応」と「手術のタイミングの判断」を見誤らない

心不全合併例、菌血症コントロール不良例、疣贅が10mm以上ある場合は手術を検討

P.134、136

 

IEの治療期間~合併症がない場合~】

★合併症がない場合

・血液培養陰性化を確認した日を1日目とする。

→自然弁の場合:4~6週間

→人工弁:6週間以上

※連鎖球菌の場合、GMは2週間で終了

P.134

 

IEにおける陰性再確認の間隔は?】

・特に決まっていないが亀田総合病院のHP見ると2~3日毎となっている。

・本書でも開始72時間での血液培養フォローしている。

P.136、参考:亀田総合病院HP(第4期KINDセミナー:講義1「感染症総論」質疑応答

感染性心内膜炎について学んだった④

 続きです。

 


 

【感染性心内膜炎のエンペリック治療】

IEでは「培養途中経過判明前」というのは少ない(←IEの診断には血液培養陽性が基本だから)

IEで血液培養陽性前から治療するのは「先行する抗菌薬の影響で培養が生えてこない+心不全など合併していて重症の場合」

→このようなケースでは自然弁でもVCM+GMも致し方ない。(ただ、長期投与による腎機能障害は必発なのでできれば避けたい)

P.132

 

【どうしてもグラム染色のみからIEの抗菌薬治療をする場合】

 

連鎖球菌様のグラム陽性球菌

CEZ2g×3(←医療暴露歴があればVCMに切り替え)+GM3mg/kg×1

P.135

 

 

IEの培養最終結果判明後の抗菌薬】

連鎖球菌(Viridans streptococcus、bovisなど)

ペニシリンのMIC<0.12μg/ml)

1.  PCG 300万単位×6

2.  PCG 900~1000万単位×2(持続点滴)

3.  ABPC 2g×4

4.  ABPC 3g×4(持続点滴)

連鎖球菌(Viridans streptococcus、bovisなど)

ペニシリンのMIC:0.12~0.5μg/ml)

1.  PCG 400万単位×6+GM 3mg/kg×1

2.  PCG1200万単位×2(持続点滴)+GM 3mg/kg×1

3.  ABPC 2g×6+GM 3mg/kg×1

4.  ABPC3g×4(持続点滴)+GM 3mg/kg×1

MSSAの場合(自己弁)

CEZ 2g×3±GM 3mg/kg×1

MSSAの場合(人工弁)

CEZ 2g×3±GM 3mg/kg×1+RFP900mg/3×

MRSAの場合(自己弁)

VCM15mg/kg×2±GM 3mg/kg×1

MRSAの場合(人工弁)

VCM15mg/kg×2±GM 3mg/kg×1+RFP900mg/3×

腸球菌(ABPC感受性(+)+GM感受性(+))

ABPC 2g×6+GM 3mg/kg×1

腸球菌(ABPC感受性(-)+GM感受性(+))

VCM 15mg/kg×2+GM 3mg/kg×1

※連鎖球菌のMICによってPCG、ABPCの用法・用量が異なるので注意!!

GM黄色ブドウ球菌、腸球菌のある程度の活性があり、β-ラクタム系などと併用される

GM緑膿菌を含む多くの好気性グラム陰性桿菌がメインのターゲット

GM:腸球菌感染症にはペニシリンやVCMといった細胞壁に活性のある抗菌薬との併用が必須

GM:腸球菌感染症に使用する場合はMIC<500μg/mlを確認してから使う(耐性の場合は使用できない)

※連鎖球菌がIEの起因菌の場合、PCGが基本。

※PCG:100万単位あたりK:1.68mEq入っている。末梢から投与する場合は濃度:40mEq/L以下、投与速度:20mEq/hr以下となるようにする。静脈炎に注意!!

※PCG:感染性心内膜炎の量を使用するとそれなりのボリューム負荷になるので注意

※ABPC:室温で不安定。持続点滴には不向き。ただ、生理食塩液に溶解。6時間毎の持続点滴は可能(ブドウ糖は3時間で85%まで活性低下してしまうので不向き)

P.133、138、レジデントのための感染症マニュアルP.144、151、P.649

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感染性心内膜炎について学んだった③

 続きを書いていきます。

 

 


 

 

【感染性心内膜炎の起因菌】

起因菌

頻度(%)

緑色連鎖球菌

33.3

黄色ブドウ球菌

21

その他の連鎖球菌

18.6

コアグラーゼ陰性ブドウ球菌(CNS)

11.3

腸球菌

9.8

酵母様真菌

HACEKグループ

※HACEK:インフルエンザ菌、アグレゲイティバクター・アクチノミセテムコミタンス、カーディオバクテリウム・ホミニス、

エイケネラ・コローデンス、キンゲ

P.130

 

 

【状態とカバーする菌】

IE+バイタルが不安定or心不全合併例→黄色ブドウ球菌(医療暴露歴次第ではMRSAも考慮)は絶対にカバーを外さない。

(↑黄色ブドウ球菌は破壊性が強い性質がある)

・腸球菌は頻度が低い&弁が自然弁の場合→ルーチンで腸球菌カバーはしなくてもよい。

IE+バイタルが不安定or心不全合併例→腸球菌までのカバーも検討しても良い(通常、頻度は低いが)

IE+全身状態良好+連鎖球菌+疣贅が大きくない→菌名・感受性結果がわかるまで抗菌薬投与をまつということも可能。

P.131、135

 

P.S今日の病棟は比較的落ち着いていました。

 


 

 

 

感染性心内膜炎について学んだった②

 続きを書いていきます

 


 

【感染性心内膜炎の症状】

感染性心内膜炎で認める症状・所見

頻度(%)

38℃以上の発熱

96%

新規の心雑音

48%

既存の心雑音の増悪

20%

血管の塞栓症状

17%

爪下の線状出血

8%

手掌・足底の出血斑

5%

結膜点状出血

5%

Osler結節

3%

眼底の出血

2%

 

・熱のみ感度が100%近い(=熱以外の症状はどれも感度が低い)

・非特異的な筋骨格系の症状は50%程度で認める(=ただ,リウマチ性多発筋痛症と誤診されることが多い)

→痛みを訴える部位を積極的に画像検索(膿瘍などの感染巣)し、誤診を回避する。

IEの転移性病巣の存在がないか造影CTでの確認が望ましい。

(↑膿瘍性病変があった場合には治療期間、ドレナージの必要性も考慮する)

P.129、137

 

【感染性心内膜炎と血液】

・血液検査でIE特有のものはない。

→通常の敗血症の指標である臓器障害(腎機能障害、肝機能障害、血小板減少など)の有無を確認

P.129

 

【感染性心内膜炎と細菌検査結果】

 

感度(%)

特異度(%)

経胸壁心エコー(TTE)

44~63

91~98

経食道心エコー(TEE)

87~100

91~100

 

・TEE:感度、特異度ともに高いが施設になかったり、侵襲度などを考えると毎回できるものではない。

→「TTEでIEを疑うが確定できない場合」、「人工弁」、「心内デバイスがある」場合などに行うのが現実的。

・1回の心エコーで異常がない場合でも1週間程度で再検するなど繰り返すと見つかることもある。

P.130、138

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感染性心内膜炎について学んだった①

 今日は今まで数例しかみたことのない感染性心内膜炎(IE)をいつもの本で勉強したので書いていきます。

 


 

【不明熱+血培】

不明熱+血液培養2セットからグラム陽性球菌→感染性心内膜炎が疑われる

P.126

 

【感染性心内膜炎の致死率】

IEの致死率は20~25%と高い。

P.126

 

【感染性疹な内膜炎の診断方法】

IEの診断には「Modified Duke Criteria」を用いる

P.127

 

【感染性心内膜炎のハイリスク因子】

  • 心臓弁膜症

(↑近年ではリウマチ性弁疾患はマレで5%未満)

  • 僧帽弁逸脱症

(僧帽弁逸脱症(MVP):左心室が収縮する時に僧帽弁の弁尖が左心房内に突きでる疾患。心房内への血液の逆流が起きることもある)

  • リウマチ熱の既往(近年ではかなりマレ)
  • 先行する抜歯の病歴、口腔内、特に歯の不衛生状態
  • 長時間の人工透析
  • 糖尿病
  • HIV
  • 注射による薬物乱用者
  • 埋め込み型カテーテル挿入患者

P.128


 

今全く話題ではないワクチンを書いてみた

 今日は何かと話題のワクチンのことを書いていこうと思います。

 

ただ、コロナワクチンではないですよ。

 

いつもの本にワクチンのことが載ってたので書いていきます。

 


 

【肺炎球菌ワクチン(ニューモバックス)】

・65歳以上は全例適応と考える。

・特に65歳以上で糖尿病、心疾患、慢性肺疾患、脾機能不全、慢性免疫不全(担癌患者、リウマチ、膠原病患者、HIVや臓器移植後など)の患者には推奨

(ワクチンの効果を高めるには脾臓摘出の2週間前に打つ必要がある(※ただし、脾摘前だと保険通らない)。ベストな状況ではないが脾臓摘出後でも打つ価値はある)

・副反応:注射部位の局所反応が他の予防接種に比べて多い(ただし、数日で自然軽快する)

・欧米では接種後5年以上経過している場合は再接種するとなっている(日本では「再接種は可能」と推奨度が違う)

・肺炎球菌ワクチンは「肺炎の予防接種ではなく肺炎球菌(肺炎の起因菌として最多)という菌の予防接種」である。

・血液培養陽性となるような侵襲性肺炎球菌感染症への効果(肺炎球菌による重症化の予防)は証明されている

・ただし、肺炎に対する予防効果ははっきりとは証明されていない(アメリカCDCも肺炎を予防するワクチンとは説明しないようにと注意喚起している)

P.195~196

 

【インフルエンザワクチン】

・50歳以上、老人ホームや慢性疾患施設の入所者&職員、慢性疾患をもつ人全員、医療従事者など(基本的に打たなくてよいとする人のほうがマレ)

 

予防効果(やはり高齢者になると発症予防効果も落ちる)

 

発症予防

死亡回避

65歳以上

34~55%

80%

65歳未満健常成人

70~90%

 

 

・妊婦に対してのインフルエンザワクチンを推奨すると日本産婦人科学会、WHOともにしている。

(※ただし、不安定な時期である妊娠初期には避けるようにとしている国もある)

→総合的には医療従事者から妊娠初期の患者に積極的にインフルエンザを打つべきとは言わないほうがベター。

P.196

 

P.S花粉症がやばいですね。でも受診するの面倒なんですよね…。

 

 


 

胆管炎と抗菌薬について勉強してみた③

 続きを書いていきます

 

 


 

 

 

 

【胆管炎における培養結果】

血液培養は陽性+胆汁培養は陰性というのは胆管炎では時々ある。

(理由①ドレナージをする準備に時間がかかり、ドレナージ検体が提出される頃には抗菌薬開始後時間が経っており、菌が死滅しているため)

(理由②ドレナージが不十分)

P.114

 

【胆汁より生えた菌で無視してよい菌】

黄色ブドウ球菌カンジダは無視してよい

(理由:留置したドレーンから良く上記菌が生えるがドレーンへのコロナイゼーション(定着菌)である)

(注意:ただし、留置されていたステントの閉塞などが原因の場合は黄色ブドウ球菌カンジダも原因菌になりうる

P.115

 

【留置しているドレーンからでた菌について】

(胆管炎に限らず)留置しているドレーンから提出された検体で生えた場合、無視してよい菌(=ドレーンへの定着菌と考えてよい)

→コリネバクテリウム、コアグラーゼ陰性ブドウ球菌カンジダなど(留置しているドレーンからの検体は定着菌も拾ってしまうため)

P.116、121

 

【胆道感染症で血培から菌が生えた場合】

胆道感染症は複数菌感染症なので血液培養から1種しか菌が生えなくても複数菌をたたくというスタンスは崩さない。

P.116

 

【胆道感染症で良くならない時に考える病態】

  • ドレナージ不良部位の存在
  • 肝膿瘍の存在
  • 炎症の腹膜への波及による二次性腹膜炎の存在
  • 炎症の胸膜・肺への波及による膿胸の存在

P.116

 

【胆道感染症のパラメーター】

右季肋部痛、胆道系酵素(ALP、γ-GTP)(GOT、GPTは胆道系酵素ではないので注意)

P.116

 

【胆管炎の治療期間】

Gradeによらず以下が推奨(=重症度で治療期間に変化はない)

・ドレナージなどにより適切な感染巣コントロールできていれば4~7日間

・血液培養陽性患者は2週間(ドレナージなどで感染巣コントロールできていても)

・腸球菌や連鎖球菌が血液培養で生えた場合は最低でも2週間

・石や閉塞が残存する場合は解剖学的な問題が解決されるまで。

 

※治療期間中は点滴からバイオアベイラビリティの良い内服抗菌薬に変更も可

P.116

 

P.S今日は娘のパジャマをネットで買いました。気に入ってくれるといいけどなぁ。

 

 


 

 

胆管炎と抗菌薬について勉強してみた②

続きを書いていきます。

 


 

【重症度別の抗菌薬選択】

◎市中発症の胆管炎

GradeⅠ

 

・SBT/ABPC3g×4+アミノグリコシド

・CMZ1g×4

・CTM1g×4±MNZ

GradeⅡ

・TAZ/PIPC4.5g×4

・CTRX1g×1±MNZ

GradeⅢ

・TAZ/PIPC4.5g×3

・CFPM1g×3±MNZ

※GradeⅠには緑膿菌カバー不要(=胆管炎/胆のう炎だからと言ってなんでもかんでもSBT/CPZってことではない)

※B.fragilisの耐性化が進むCLDMもドレナージができていればMNZの代替薬になる。

※アミノグリコシド系は1日1回投与方法が望ましい。(腎機能が問題なければ(Ccr>50ml/min)GM:5mg/kg/日、AMK:15mg/kg/日。※体重は理想体重を用いる)

 

◎・医療機関への暴露が濃厚で培養途中経過判明前or培養陰性の場合

・胆道系にデバイスがある場合で培養途中経過判明前or培養陰性の場合

1.  TAZ/PIPC4.5g×4

2.  CFPM1g×3±MNZ

※B.fragilisの耐性化が進むCLDMもドレナージができていればMNZの代替薬になる。

P.113

 

【胆道感染症の起因菌】

市中:グラム陰性桿菌(大腸菌やクレブシエラなど)±連鎖球菌、腸球菌

 

医療暴露歴あり:市中+SPACE(セラチア、緑膿菌アシネトバクター、シトロバクター、エンテロバクター

P.114

 

【胆道感染症と嫌気性菌】

嫌気性菌の血液培養陽性例は少ない。

基本、ドレナージができていれば嫌気性菌はそれほど問題にならない(※ただし、重症例では嫌気性菌カバーを検討)

P.114

 

P.S私はこの本のほかに感染症プラチナマニュアルという本も持っているのですが治療薬については岸田先生が推奨する薬と少し内容が異なってました。現場では時々、どっちの本に書いてある薬を選ぶべきか悩みます。

 

 

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胆管炎と抗菌薬について勉強してみた①

 今日は頻繁にみる胆管炎の抗菌薬治療について例の本で勉強したので書いていきます。

 

 


 

【胆管炎と内視鏡的ドレナージ】

胆管炎の多くは迅速に内視鏡的ドレナージを行えば抗菌薬はどれでもあまり遜色はない。

P.108

【Charcotの3徴が揃うことはそこまで多くない】

胆管炎においてCharcotの3徴(発熱、黄疸、右季肋部痛)がそろうのは数十%とそこまで多くない。

P.110

 

【胆管炎の治療で重要なこと】

支持療法を中心とした全身管理+ドレナージ(抗菌薬は背中を押す程度)

 

【胆管炎の重症度分類】

・重症度分類はTokyo Guidelineで行う

・胆管炎の抗菌薬治療は重症度に基づいている!!

・胆のう炎も同じ重症度分類を使って抗菌薬治療選択する

Grade Ⅰ(Mild)

診断時にModerate、Severe以外

GradeⅡ(Moderate)

以下のうち2つを満たすもの

1.WBC>12000/mm3or<4000/mm3

2.39℃以上の発熱

3.75歳以上

4.T-Bill(総ビリルビン)が5mg/dl以上

5.低アルブミン血症(<正常値下限×0.7)

GradeⅢ(Severe)

いずれか1つの臓器障害を示す所見がある

1.心血管系:DOA 5γ以上必要or NAd使用

2.神経系:意識障害

3.呼吸器:PaO2/FiO2比<300

4.腎:乏尿、血清クレアチニン(Cr)>2mg/dl

5.肝臓:PT-INR>1.5

6.血液:血小板(PLT)<10万/mm3

※PaO2:動脈血酸素分圧、PO2:酸素分圧 基本、血液ガスは動脈からとるのでPaO2とPO2は同義

P.111

 

【医療暴露歴の有無が悩ましい時は悪いほうにとって考える】

医療暴露歴があるかないかを悩むケースは医療暴露歴があると判断すべき。

理由;病歴や最近の医療機関受診歴、抗菌薬使用歴は100%うまく取れているとは言えないため。

P.112

 

【胆管炎患者の季肋部痛について】

胆管炎において明らかに季肋部痛があるというのは通常よりも症状が重いと考え、重症度の境目ぐらいならより上のランクで取り扱ったほうが良い。

(↑Charcotの3徴(発熱、黄疸、右季肋部痛)がそろうことは少ないため)

P.112

 

 P.S少し前に胆管炎か胆のう炎の患者さんが入院してきました。その時の採血結果やバイタルから重症度はGradeⅠだったのでGradeⅠにあった抗菌薬でよい良いかなと思ってたのですが季肋部痛を訴えていたのでGradeⅡとして考えても良かったのかな?と思ったそんな一日。

 

VT/VFを調べてみた①

 先日のことです。

 

さて今日も仕事しますか!!と注射オーダーを見たら見覚えのある名前がありました。

 

その方は繰り返し心臓カテーテルを受けている患者さんです。

職業はお医者さんをされており、性格はとても優しく、廊下などでお会いすれば暗く愛想のない私にも気さくに声をかけていただける、いい人だ!!と素直に思える方です。

 

で、オーダーを見たらマグネゾール、アンカロンなどもろもろが処方されていました。

 

マジか!!

 

早速、電子カルテを見ると診察室で急に失神を起こし、心電図ではVF(心室細動)波形が確認されたようです。すぐさまDC(除細動)→マグネゾール→アンカロン→緊急カテーテルをされており今は病棟に入室され、看護師さんとも話をされているようでした。どうやら無事なようです。

 

本当に良かった!!

 

 今日は当院ではあまりお目にかかることのないVT/VF(心室頻拍/心室細動)をいつもの本で勉強したので書いていきます。

 

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【VT/VFの波形】

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P波、QRS波が分からない&波形も不規則

 

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P波、QRS波が分からないが波形は規則的

 

 

【致死性不整脈とは?】

致死性不整脈心室頻拍(VT)や心室細動の(VF)の総称

P.181

 

【electrical stormとは?】

electrical storm:24時間以内に3回以上のVTやVFの発作を認めること。electrical stormは死亡率が高い。

P.181

 

【VT/VFを生じる基礎心疾患と心機能について】

VT/VFを生じる基礎心疾患は以下の通り。心機能によって2つに分類できる。

 

心機能が低下する疾患:心筋梗塞後、心筋症(拡張型心筋症など)

心機能低下を認めにくい疾患:ベラパミル感受性心室頻拍(←右脚ブロック+左軸偏位が特徴)、遺伝性不整脈(←QT延長症候群、Brugada症候群)、カテコラミン誘発性多形性心室頻拍

P.181

 

P.S今日はひな祭りでした。家族で近くの公園にベビーカーで向かったのですがベビーカーで寝てしまい、公園では遊ばずスーパーで買い物して帰ってきました。娘にはすくすく育ってほしいものです。(ひな人形は今週の土曜日に片付けますかね)

 

 

 

尿路感染症(治療③)

 今日も尿路感染症の治療の続きを書いていきます。

 

 

 

【尿路感染症の経過観察】

腎盂腎炎は72時間程度は発熱が持続しても良い感染症(翌日、解熱しないからといって慌てない)

・72時間経っても解熱しない場合→尿路結石などの尿路閉塞、膿瘍形成の評価をCTなどを用いて画像検索する。

P.21

 

【72時間ルールを無視して画像検索したほうが良い場合】

☆閉塞の解除、ドレナージを早期に行わないと救命できない状況の場合、72時間ルールを無視して画像検索を!!

  • 入院の時点でショック状態など重症の場合

→閉塞の解除、ドレナージをしないと全身状態の改善が期待できない可能性あり。

  • 来院時から痛みが強すぎる

→尿管結石や腎膿瘍の存在を示唆

  • リスクが高い場合には積極的に考える

→コントロール不良のDM、HIV、その他の免疫不全

→結石や先天性奇形などが疑わしい病歴

P.22

 

【複雑性尿路感染症の治療期間】

・血液培養陽性例は2週間

・血液培養陽性以外ガイドラインによっても異なっており明確な指標はない

→解熱後or複雑性の因子解除後(カテーテル抜去や結石除去など)3~5日

カテーテル関連尿路感染症の場合は以下の2通り

  • 症状が迅速に改善した場合:7日間
  • 反応が遅れた場合:10~14日間

P.22

 

 

 

P.S 今日は行くのを控えていた初詣に細心の注意を払って家族で行ってきました。